抽象とアナロジー

「大意: 抽象化とはもう少し広い範囲の繋がりを意識したいから。そのことによって一つの狭い知識が広い範囲で他の知識と繋がることが出来る。しかし、抽象化とはその「一つの知識を取り巻く広い範囲」を特定の領域に限定する働きをも担い、元々の一つの知識が抽象化された一つのアナロジーとは別の範囲で別の知識と繋がっていくことを邪魔立てする働きをもしてしまいかねない。それを一般的に<バイアス>と人は呼ぶ。

いってみれば<抽象化>とは<群盲象を評す>であり、象の尾を触って「象とは箒のようなものです」と尻尾と箒の共通性から尻尾の現象形態が消えていったとしても、その盲人は象の尻尾しか視野に入っておらず、象(の尻尾)は掃除に役に立つと結論づけるがごとき一面的な思考でしかない。

それにしても「象」を「箒のようなもの」だと抽象化することが「象と掃除」とを結びつけるだけの役割しか担わぬとしたならば、抽象化とは何なんだ?と呆れてモノも言えなくなるのも理解できなくはない。