医学における学と術の直接的同一性

どこかの臨床医さんが医学は医術から区別されるもので、その根幹には科学と技術の区別があるなどという混迷・錯綜した見解を説いていたらしい。

だが、その理解には現代の「学術」というものが「学」なのか「術」なのかハッキリしろなどという混迷に導かれる下地があり、外科学や整形外科学のような「生理学や病理学に基づいて患者に術を施した経験を改めて対象化して学的体系化した」ものを正しく把握できない。

その観念では科学と技術という別々のものが連関していくという「媒介関係」しか想定されておらず、科学と技術が不可分の一体となったものという認識がない。

したがって「外科術学」だとか「テクノロジー」といった把握を理解することが出来ず、現代社会における学術理解から逸れていき、逸脱してしまった己のほうこそが正しいのだと正統的なアカデミーに言いがかりをつけるしかなくなってしまう。

英語で「medicine」という医学も医術もどちらをも指す言葉が不可分の一つのものを正しく表す言葉であるにも関わらず難癖つけるが如くに。それは謂わば「人間というのは肉体なのか精神なのか白黒ハッキリさせろ」と言うがごときの駄論だからである。

しかし、最早、修正は利かないのだ。そのレベルで完成してしまったのだから…。