革命

某ブログの某者のコメントから普段は考えることなどない「革命」について暫し考える機会があった。 英語の「Re-volution」の和訳に当てられている「革命」という言葉は元々は中国にあった言葉で「天命を新しくする」という意味だったらしい。 つまりは歴史上…

生きがいの探求

学校の帰り道でいつもの古本屋に寄り出口日出麿の『生きがいの探求』を買った。 一冊100円の安いコーナーを物色していて生体内の生化学についての本だとかカンブリア時代の生命進化の本だとか他にも「いいな」と思う本はいくらもあったが、なんとなくその時…

近藤久美(こんどう・ひさみ)さん

学校の授業で兪募穴治療を教わったときに先生が藤田六朗さんが兪募穴についての仮説を提起していたと教えてくれた。 そのことを調べたいと思いネットで検索していたら昭和37年に全日本鍼灸学会誌に掲載された近藤久美(こんどう・ひさみ)さんの「私のみた兪…

医学における学と術の直接的同一性

どこかの臨床医さんが医学は医術から区別されるもので、その根幹には科学と技術の区別があるなどという混迷・錯綜した見解を説いていたらしい。 だが、その理解には現代の「学術」というものが「学」なのか「術」なのかハッキリしろなどという混迷に導かれる…

生活過程

久方ぶりに「生活過程」という言葉を目にした。 この「生活過程」という言葉は恐らくは十代の頃から目にしている言葉だが、時として意表を突いたところで用いられているのに遭遇して困惑するときがある。 それで現代の発達したネットで検索してみると「生活…

脈診についての覚え書き

某ブログで脈診についてのコメントを読んだ。 そのブログの内容は、おそらくは現代から過去にかけての日本の東洋医学における脈診や中国における脈診の実像を伝えるものではないと思われたのだが、その「論理的能力」だとか「認識論」はては「二重性」といっ…

『標準 組織学』

アマゾンで『標準 組織学(総論、各論)』を買った。一冊1円で送料のほうが高いくらいだから相当な部数の出た本なのだろう。 共著者である藤田恒夫さんと藤田尚男(ひさお)さんは同姓だが共に1929年生まれの同い年のようだから血縁関係はないようだ。 恒夫さん…

グレイの『解剖学』

1918年のヘンリー・グレイの『解剖学』がネットで公開されている。 興味深い目次を転載すると 序論 解剖学の参考文献 Ⅰ. 発生学 Ⅱ. 骨学 Ⅲ. 靭帯学 Ⅳ. 筋学 Ⅴ. 脈管学 Ⅵ. 動脈 Ⅶ. 静脈 Ⅷ. リンパ系 Ⅸ. 神経学 Ⅹ. 感覚器官と外皮 XⅠ. 内臓学 XⅡ. 体表解剖学と…

学生心得

鍼灸学校に入学してから毎日が楽しくて仕方ない。おそらく私の適性に合致している学校なのだと思う。 その学生生活を進めていくにあたって自分を戒める「こうすべき」との心得を考えた。 その最大のポイントは教科書を基本書とし、その徹底理解に努めること…

命題:「青春は再び還らじ」か?「永遠の青春~青春を繰り返す」のか?

鍼灸学校への入学で再び「学」へ向かう機会を得ることが出来たが、誰もいない朝の教室で予習のために教科書に向き合っていると様々な想いが湧き上がってくる。 その根幹にあるのは「自分の時代の学校制度の肯定」という、◯◯学派の弁証法や「たった一つのテー…

入学式と感情心理

今日は鍼灸の学校の入学式。ここ何年もフォーマルな格好などしていなかったが久方ぶりにスーツに身をつつみ用意された会場に足を運んだ。 会場を埋め尽くした学生の数は壮観なものだったが私が入学したクラスの人数は9人とのこと。少数精鋭というか学ぶ側と…

抽象とアナロジー

「大意: 抽象化とはもう少し広い範囲の繋がりを意識したいから。そのことによって一つの狭い知識が広い範囲で他の知識と繋がることが出来る。しかし、抽象化とはその「一つの知識を取り巻く広い範囲」を特定の領域に限定する働きをも担い、元々の一つの知識…

認識論とイドラ

フランシス・ベイコンの「イドラ」 ジョン・ロック(イギリス経験論)らの認識論(understanding)は観念におけるイドラの区別から つまり、それは心理学とは初めから対象的な視座や範囲が異なるもの 認識論とは観念が正しいか否か、そして観念が正しいとか間違…

証明論

まったく知らない分野の事柄だと話の筋道がどこにあるのかを判断するのにも一苦労する。 法学だとか裁判に関する事実や概念も丸で不勉強で知らない身では『裁判における証明論の基礎』の核心がタイトルにあるごとく「証明論」「裁判における証明責任」だとい…

心証

太田勝造先生の『裁判における証明論の基礎』を買ったものの、この本の核心にある「心証」ということを知らずイメージできなかった。 悔しいので調べ始めたが、辞書に「訴訟上の要証事実に対して形成される裁判官の主観的な認識や確信」と書いてあるだけでは…

当為の証明

本郷、正門前の井上書房さんで鍼灸の本を数冊買った。 井上書房さんは自然科学系の本を中心に扱っていながらも医史学や東洋医学関係の本も充実してるから度々利用させていただいている。 ついでに伸松堂書店さんで松坂佐一さんの『プラトンと法律』と太田勝…

堂々たる日本人

幕末から明治にかけては私も日本人の端くれであるから最も心に響く時代である。 弟子入りした先生のところで鍼灸の術を勉強させていただくようになってから先生の術技の強烈なインパクトに「私もいつかは海外に勉強に行ってみたい」と年齢も省みずに考える昨…

斉藤公子

人は人生の旅路の途上で後々時間をかけて解答を得るべき宿題を負わされるもののようだ。 先日の東洋文化研究所での東京学派に関する講演で「駒場哲学カルテット」とも称される「廣松渉、坂部恵、大森荘蔵、井上忠」の話を聞いてから「事的世界」だとか「関係…

タレス(ミレトス派)とパルメニデス(エレア派)

ヘロドトスの『歴史』(松平千秋 訳)をヤフオクで安く落札した。この本には私が予想し仮説を立てた「知りたかったこと」が書いてある。 「さてハルパゴス(アケメネス朝ペルシャの将軍、キュロスの部下)は兵を進めてポカイアを包囲すると、もしポカイア側が(王…

モナドと予定調和

ライプニッツに真っ向から取り組む前に、彼の説いた「モナドと予定調和」という考えについて暫し夢想してみる。 ライプニッツ(1646~1716)はジョン・ロック(1632~1704)と同時代の人。ということはスピノザ(1632~1677)とも同時代。カント(1724~1804)は少し後の…

正・反・合

私のように正式に哲学を学んだわけでもない素人学問でも哲学の「テーゼ、アンチテーゼ、ジンテーゼ」という言葉は十代の頃から知っている。 だが、最近あらためて「ヘーゲルの弁証法は正反合ではない。ヘーゲルは正反合と言ってない。」という話を耳にした。…

ギリシャ哲学の歴史学

古代ギリシアの哲学思想を当時の社会状況に即した情動に根拠を求めたいとの欲求を実現するため歴史学者の師尾晶子先生のお知恵を拝借した。 師尾先生のアルカイック期僣主制の時期を考察した歴史学の論文から、ミレトス派のタレスやエレア派のパルメニデスの…

コギトとモナド

昨日はエズラ・F・ヴォーゲルの『トウ小平』を読んでいた。(この登におおざとの漢字が出ないのは悩ましいが…) というのも最近『評伝 小室直樹』という本を買ったのだ。著者の方とは多少のご縁があったので買ってみようとアマゾンで検索してみたら定価の8割…

これから読みたい本、論文

●師尾晶子(千葉商科大学)「古代ギリシアにおける「他者」の発見と「他者」との境界をめぐる言説の展開」 ●丸山恭司(広島大学)「教育において<他者>とは何か~ヘーゲルとウィトゲンシュタインの対比から」 ●小林正士(国士舘大学)「ヘーゲルの社会哲学と市民法…

東洋医学と東洋思想

頼んでおいた藪内清さんの『中国古代の科学』(1964年)が届けられた。 とても示唆に富んだ魅力的な知見が綴られている。 いくつかピックアップしてみると ①「近代科学の開幕は十六世紀のヨーロッパからはじまっていて、十九世紀の後半から科学と技術とが密接…

鍼灸あるいは周辺文化への雑感

あらかじめ何らかのテーマやタイトルを付して記述をしていくことは論点を整理して論理の道筋を明らかなものに再構成していくわけだから読むほうも読みやすいかも知れないが「書くことは考えること」(パスカルの言葉らしいが(笑))との「自分史上初」の未知な…

東洋思想

昨年、北京で開催された世界哲学会議のパンフレットを見ると開催国である中国の歴史に残る思想家たちの肖像画が並んでいる。 孔子(Confucius)、老子(Lao Tze)、孟子(Mencius)、荘子(Chuang Tze)、王弼(Wang Bi)、慧能(Hui-Neng)、朱熹(Chu Hsi)、王陽明(Wang…

カオス…

特に自分の職業に直接つながってくるわけでもないが「なんとなく」の直感的な興味で関わっていることはいくつもある。 それがスティーブ・ジョブズの言う「結ばれた点と点」として論点が顕になってくる日がくるのか否かさえ分からないけれど、最近は波多野誼…

詩、和歌、文学

先日、本郷の附属総合図書館のライブラリープラザで熊野純彦先生と菅原克也先生の対談があって聞きにいった。 お二人それぞれの講演にも引き込まれる魅力を感じ私も一つ質問させていただきもしたが、特に印象的だったのは熊野先生が引用していたランボオの『…

科学哲学、哲学、そして…

まだ明確な論点は掴めていないけれど取り敢えずの覚書だけ… 一ノ瀬先生が主催してる本郷メタフィジック倶楽部にDarrell Rowbottom先生がゲストに招かれて「The Instrument of Science」というタイトルで講演するという情報を得た。 それで事前に少し予習を始…