堂々たる日本人

幕末から明治にかけては私も日本人の端くれであるから最も心に響く時代である。

弟子入りした先生のところで鍼灸の術を勉強させていただくようになってから先生の術技の強烈なインパクトに「私もいつかは海外に勉強に行ってみたい」と年齢も省みずに考える昨今。というのも先生は中国で学ばれた方なのだ。

そんな自身の海外視察への夢を重ねるが如くにユーチューブで「獅子の時代」を見た。

これは、NHKがまだ国民教育というものを大事にしていた頃に山田太一の脚本で作られた番組だが、私は小学校の5~6年生だったかも知れない。

「志士」に「獅子」を重ねているのであろうが、その正にライオンのごとき強靭な意志を描き出した作品に「日暮れて道遠し」(史記)ながらも熱き情熱を再び甦らせんと努める。

オープニングの字幕に「医事考証 酒井シズ」の名を見留め温かい気持ちが沸き上がるが、幕末の医師の「貧乏人から銭など取れるか」といった気概はパリ留学で白人の福祉的活動を見聞したからということになっている。言われてみれば日本人はそもそもが福祉活動などするような民族ではなかったかも知れない?

威風堂々と欧米を視察したという岩倉使節団の如くに私もいつかは海外に治療の勉強に出掛けてみたい。

このところ痛感するに「外界を有りのままに認識する」だけでは人間としては「仏つくって魂いれず」で高村光太郎の「道程」の如くに「自らの道」を作っていくべき情熱を再び燃え上がらせんと望むところだ。

正に「人間は精神であるから自らを尊敬すべし」というところであろうし、観念世界の育成にこそ時間を費やすべきかと考える。